私たちは沖縄県最大の無人島である屋那覇島の自然を守るために、2004年(平成16年)にNPOいぜな・やなは島の自然を守る会を立ち上げました。当時、屋那覇島においては車エビ養殖場建設計画が持ち上がり、その計画は無秩序に島の自然を破壊するだけの架空の事業計画が示されました。
この計画を止めるために当会と86年以来、無人島の自然体験に全国から集まってくる子どもたちが一夏を過ごす「共和国こんがりここなつ島」実行員会とが共同で、島の自然を取り戻す「ナショナル・トラスト」運動に取り組みました。
幸い、架空の事業構想はとん挫しましたが、その後、廻り回って島の約半分が他国資本の手に渡りました。その結果、島へ不法入島するキャンパーや入島者が増え、それらの者によるタバコ火の投げ捨てや、キャンパーの野外炊飯による残り火などが原因の野火によって、島の中で大規模火災が起きるという事態に見舞われています。
最近では、天然記念物の陸ヤドカリの不法捕獲後持ち出だされたり、島の動植物の生態環境は危機的な状況にあります。また、地球温暖化の影響による海面上昇は砂浜の浸食を加速度的に進め、赤ウミガメ青ウミガメの産卵エリアは壊滅状態にあります。こうした状況を食い止め沖縄の原生自然を再生するために、他国資本の手に渡った区域と個人所有の土地を買い集め、他国資本による乱開発を阻止するため皆様のお力をお借りして目的を果すべく運動したく願っております。
現在の屋那覇島の植生は、戦後、米軍による焦土緑化再生計画によって、オーストラリア原産のモクマオの木が生い茂り、琉球を象徴する樹木のひとつ「ガジュマル」「デイゴ」の木などは姿を消してしまいました。とは言え、島の中央部には樹齢300年(推定)を超える、ガジュマルが「天下りヒヌカン」さまを祀るように枝を広げています。 しかし、異国の開発資本は容赦なく貴重な樹木を切り倒すことは想像難くないところです。そうした残された森の中にはリュウキュウアカショウビンやリュウキュウヒクイナ、リュキュウカナヘビなどが棲息しています。また、オオゴマダラ、リュウキュウアサギマダラ等々、亜熱帯の美しい蝶類が飛翔しています。これら、珍しい生き物たちの生態分布調査はまだ手付かずです。今後、この貴重な動植物の生態調査をしなければなりません。
沖縄の海は世界に誇る素晴らしい生態系が拡がっています。島の砂浜には絶滅危惧種に指定されている、タイマイ、アカウミガメ、アオウミガメの産卵地が何ヵ所もあります。私たちは観察をしながら、生まれた子ガメは海洋博公園の水族館に送り、翌年に標識を付けてもらい島に里帰りして放流しました。近年では放流した成体カメが太平洋を回流して伊是名の海で見られるようになっています。
島を囲むリーフ(サンゴ礁)は魚介類の生息域で、大潮の干潮時にはその観察や採集しその生態系を学びます。近年は地球温暖化の影響でサンゴ礁が衰退し、その実態は自然環境観察として悲しい教材になっています。
島の森と林の樹木・植物の多くは外来種によって浸食されていますが、これは海流による票着種子によるもので、それらの事例を柳田國男さんの「椰子の実」の唄を題材にして海洋漂流物についても学びます。
それらに合わせて、シンプルな魚釣り具の手作りや魚介類の採取、貝殻採集による工作など創造力を養うプログラムを展開します。
夜は天体・星座観察などで地球の不思議を探求するなど、参加者が自らワクワクする体験と瞬間を提供します。
その教授と教材は、沖縄の海と森と空とそこに生きるものたちです。
この教室の大きなテーマは「みんな生きている海」です。
いま、沖縄の海、いや世界の海はゴミがいっぱい浮遊するゴミ箱のような状態です。
その一部は、沖縄の島々や海岸やビーチに流れ着き、そこで破損した多くのプラスチックゴミはマイクロプラスチックとなり、海上や海中を漂います。そして、それを誤飲・誤食した海洋生物が次々と命を失っています。
私たちはその実態を調べ把握し、その行為を少しでも減らすために海浜に漂着するゴミの国籍調査をしながらクリーンアップ活動に取り組みます。